豊かにはたらき、生きるために。心トトノイ、思考トキハナチ、自分に火をトモス 「totot」とは

「totot(トトット)」とは何なのか、どんな想いで生まれ、どこへ向かおうとしているのか。プロジェクトの立ち上げメンバー(灯す人)である3人が語る、はじまりのストーリー。

五感に響く体験を

ともさん:このプロジェクトをはじめるきっかけは、個人の変容・覚醒に向き合いたいなと思ったからなんだよね。僕自身は50歳手前で、これからの人生をいろいろ考えてきた中で、個人の生き方をアップデートしていくことを使命にしたいなと。


廣居 朋也(ともさん)企業の人材・組織開発領域のコンサルティングに従事。ライフワークでは、軽井沢ラーニングフェスティバルやライフスクール(他団体)の個人向けのイベントへも多数登壇、某FM局のラジオパーソナリティなどを務める。直近は、個人の生き方をアップデートするプロジェクト「いきかた3.0®︎」、サウナを使い人の行動に火を灯すプロジェクト「totot」など、様々なビジネスプロデュースを行っている。

そんなタイミングで、もゆるっちと久しぶりに会って、サウナについて語ったところから僕らのストーリーがはじまったんだよね。

もゆる:ともさんと初めて会ったのは数年前、自然の中で生き方やビジネスを学ぶイベントで、ともさんが講師、僕はイベントレポートを書くライターとして参加した時でしたね。当時は、二人ともサウナの“サ”の字もなかったので、月日が経ってからの久々の再会で意気投合し、次の週には一緒にサウナに行ってプロジェクトのミーティングをするような展開でした(笑)。


松田 然(もゆる)働くをととのえるインタビューライター。聴く・書く・伝える会社スゴモン代表。今まで、1000社3700人以上を取材し、コンテンツ作成やブランディングを支援。プロのはたらき方発信サイトSoloPro編集長や、伝わる言葉で旗印をトトノエル TotonouWork 代表も勤める。自転車旅人として47都道府県を走破し、全国のサウナや温泉も巡る。サウナ・スパ プロフェッショナル資格取得。

ともさん:そうそう、錦糸町の黄金湯。もゆるっちがサウナにたくさん行っているのはSNSの投稿などを見て知っていたけど、僕はどちらかというとサウナを毛嫌いしていたからね。流行りものに乗るみたいな感じで……だから、半ば強引に行ってみたら、自分自身を解放し、だんだんと変化していくような不思議な感覚を得ることができて。

なんだろうな、自分の中で囚われているものがあったけど、それが外れた感じ。サウナに入った後、二人でサ飯を食べながら語った時、本当に自分の“ありのまま”で話せているなという感覚を覚えて、この体験はいいなと思ったんだよね。

ウッチー:僕もサウナを深く意識したのはここ3、4年。僕自身の、本来の自分という感覚を取り戻していくような体験を通じて、本業である人材開発のプログラムにサウナを取り入れていきたいと思ったんだよね。


内田 成男(ウッチー)人事として、主に人材開発、組織開発、リーダーシップ開発、企業内大学の企画運営などをおこなってきた。現在は、誰もが生まれ持っている野生の感覚や人間性の回復を願い、自然や五感を中核に据えた体験プログラムなどを創造し、法人から個人、大人から子どもにまで幅広く提供している。軽井沢ラーニングフェスティバル実行委員会 全体統括。

もゆる:サウナを深く意識するようになったきっかけとは?

ウッチー:ある企業の経営合宿にファシリテーターとして参加した時に、その企業の社長が「ウッチーも一緒にサウナに入りましょうよ」と誘ってくれたんだよね。それまでサウナにあまり入ったことがなく、印象も「熱いもの、以上!」くらいだったんだけど、その方の入り方真似て入っていたら、なんだかだんだん感覚や心が開いていき、これがなんだかとっても素晴らしくて。

それからは「何だったんだろう、あれは……」と自分自身で反芻(はんすう)していったんだよね。その後コロナ禍へ。世の中の人の五感感覚が少しずつ閉ざされていき、自分自身や他者のことを感じにくくなっていっているように見えて、このままでいいんだろうかと考えていたタイミングで、五感を開くサウナ体験がこの状況を変えるヒントの1つになると強く思ったという感じかな。

ともさん:まさに、変容だね。

もゆる:わかります。僕もサウナへの想いが強くなったのはコロナ禍がきっかけです。それ以前から自転車旅が好きで、47都道府県全てをリモートワークしながら回るなど、だいぶアクティブに動くタイプで、1日の旅の終わりは温泉か健康ランドで締めるような人でした。ただ、そこにサウナがあっても1セットほど汗を流して終わりみたいなライトなサウナーだったので。

それが、コロナ禍で旅に出ずらいご時世になったことで近所のジムのサウナに毎日のように通っていたら、薄暗いサウナ室も、キンキンの水風呂も、椅子に寝そべって外気浴している時も、全てが自分の心と対話する豊かな時間になっていって……。

ウッチー:その体験は特別だよね。僕は、もともと企業の人事として個々人が“豊かにはたらく”ことに取り組んでいて、そのきっかけとして焚き火を囲んで五感で自然を感じ心を開く、「焚き火ダイアログ」というプログラムをつくって行っていたんだ。これにサウナを加えると、より人間性を取り戻すような体験ができるのではないかと思っていたから感覚は近いかもしれない。

もゆる:本当そうです。ただ、その上で五感にうったえるなら、ロケーションやシチュエーションへのこだわりがとても大事ですよね。

ウッチー:大事だね。僕がはじめてサウナを素晴らしいと感じたのは、さっき言った経営合宿が行われたホテルのラグジュアリーなサウナだったんだけど、いろいろなサウナを巡る中で、自然の中で入り地球全体を感じるような体験ができるアウトドアサウナの魅力を知ってからは、「自分を解放する体験として自然あふれるロケーションも、より良いのかもしれない」と感じたんだ。例えば野尻湖のThe Saunaは、これこそアウトドアサウナの醍醐味だなと感じるほど印象深い体験だったな。

ともさん:The Saunaは最高だったね。先日もウッチーと行ってきたけど、湖のほとりに、みんな違ってみんな素晴らしいサウナ小屋やトレーラーサウナ、テントサウナなどが集まっていて、自然を味わい尽くすような体験ができたのはとても楽しかったな。

もゆる:The Saunaのようにフィンランドの本格サウナを体感しているようなサウナもあれば、サウナの聖地しきじの水風呂のように地球に抱かれているような感覚になれる場所もある。個人的には、佐賀のらかんの湯に滞在した時、朝靄の中で外気浴をしながら目の前に生い茂る木々をぼんやり眺めていた時に、言葉で表現しずらい幸せな感覚を覚えたのが強烈な原体験になっています。

豊かな時間を感じられる瞬間を

もゆる:このチームがこれから何を仕掛けたいか……その話もしていきましょうか。

ともさん:まずこのチームの始まりは、もゆるっちと毎週のようにミーティングし、プロジェクト名の「totot」をはじめ、サウナを活用した事業コンセプトやワークショップの企画、名刺やHPのデザインまで、いろいろと考えていたんだよね。そんなある日、ウッチーと渋谷のサウナthe・に行くきっかけがあり、「一緒にやらない?」と僕から声をかけたのが3人で動き出すきっかけかな。

ウッチー:僕はもともと個人で焚き火やサウナを使った体験プログラムや研修をやっていたんだけど、このチームでならもっと本格的にできると思ってワクワクしたし、ロゴや名前に込められた想いなどを聞いて一緒に挑戦したいとなったんだよね。

ともさん:ウッチーに声をかけたのは直感的なところもあったけど、何より生き方がかっこいい人だったからね。僕は何をするかもそうだけど、誰とするかをとても大事にしていて、tototをやるならウッチーともやりたいなと。

もゆる:ともさんは「かっこいい」をとても大事にしてますよね。そして、tototもかっこよくは大事なキーワードです。

ともさん:アフリカのことわざで「早く行きたければ、一人で進め。 遠くまで行きたければ、みんなで進め」という言葉があるけど、自分たちがワクワクできる仲間なら遠くにも進めると思ったからね。

もゆる:このチームなら、遠くに、しかも早く行けるかもしれないと僕も思いますが、このプロジェクトに参加した方にはどんな価値を提供できるかも大事ですね。

ウッチー:誰もが生まれ持っている五感感覚や本来の人間性を取り戻す。そこを目指していきたい。多くの人が過去のトラウマや未来へのプレッシャーを心に抱きながら、歯を食いしばって我慢しながら日々を過ごしている。

でも、今この瞬間を味わい尽くすことに目を向けられるよう、寄り添い、はたらきかけていきたい。

サウナを通じた体験はまさに、今この瞬間の自分自身や他者、社会など、森羅万象を豊かなに感じていけるきっかけとなり得る。

ともさん:本当に、そこが全て。サウナで、今という瞬間を味わうことで、自分自身が世間のイメージに囚われていないかを問い、本当の自分を生きていくための変容のきっかけを得られる。そんな体験価値を提供していきたいなと思っている。

もゆる:サウナはロケーションやシチュエーションによっても全く感じ方が違うので、そこにはこだわりたいですね。

ウッチー:日本には素晴らしい自然がたくさんあり、ロケーションによって感じ方もそれぞれ変わってくる。さらには、音や香り、食など五感を満たす体験ができるといいし、そういったことを仲間たちと共に味わうのは、情動記憶に残る特別な共同体験になると思っている。

また、本当に素晴らしいサウナを作っている人たちや、サウナが心身のさまざまなことに影響することを深く学ばれている方がたくさんいる。そういった方々をリスペクトしているし、様々な知見をお借りしながら一緒に体験をつくっていくことは僕らにとっても大きな学びになる。そして、参加者に対しても素晴らしい体験を提供することに繋がっていくはず。

もゆる:そうですね。僕らは、サウナブームだから面白いこと仕掛けたいといった感覚ではありません。サウナを深く嗜(たし)む先人たちから多くのことを学びながら、ワークショップなどの新たな提供価値を加えていくことで、サウナの素晴らしさを伝えたいし、そこで起こるポジティブな変化に目を向けていきたいですね。

最後に

ともさん:僕はtototを通じて実現したいことが2つあって。1つは、働く人たちに何かを残していきたいということ。誰もが、これからは本当の自分で生きて欲しいという願いがあるからこそ、このプロジェクトで得られる体験がそのトリガーになればいいなと思っている。

そして、もう1つは自分自身。少なからず昨日と違う自分、その延長線上でまだ見ぬ自分に出会えることを楽しみにしているんだよね。

ウッチー:僕にとってサウナや焚き火は、いつも新しい気付きを媒介してもらっている存在。サウナに入った後に湖畔で寝ながら外気浴をしていると、今まで気づけなかった種類の風の感触を肌で感じることができたり、耳に入る鳥のさえずりも1匹ではなくいろいろな種類の鳴き声があり、呼応していることに気づいたり。はたまたとんでもないひらめきが降りてくることも。

そんな新しい気付きや学びもまた、tototを通じて広がっていくのが楽しみです。

もゆる:場の熱量を作るのは人。これは日本全国を旅して、いろいろな施設や場所に自ら足を踏み入れたからこそ感じることです。そして、そういった場のエネルギーを浴びることで、心身ともにリフレッシュし活力を得ることができた経験を活かし、今度は自分たちが熱を投下し、多くの人の心に火を灯していく側になりたいですね。

ともさん:心トトノイ、思考トキハナチ、自分に火をトモス。

これがtototのミッションであり、提供価値。働く人の心と身体をサウナで解き放ち、その人の「半歩」を創り出していきたいし、たとえ踏み出さなくても、それを決めるのは自分自身だということを伝えていきたい。そして、なんかこいつら面白そうなことやっているなと感じた人は、ぜひ巻き込み、巻き込まれて欲しいな。

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